「渋谷区ふれあい植物センター」

区立の都市型植物園の「渋谷区ふれあい植物センター」に行きました。渋谷駅から歩いて行ける距離にあり、熱帯植物や果樹、ハーブ、食べられる植物などが展示されています。2023年7月に「育てて食べる植物園」として渋谷清掃工場からリニューアルして生まれたそうです。

日本でいちばん小さな植物園と紹介されるほどコンパクトな規模ですが、農と食の地域拠点としてのユニークな展示が注目を集めています。

以下、ウェブサイトより。

わたしたち『渋谷区ふれあい植物センター』は、どのような種を蒔くべきなのでしょうか。例えば、都市の中において植物や自然がもたらしてくれる恵みの豊かさを伝えることであったり、植物を通じて人と人が繋がるコミュニティを育むことの大切さだったり、生ゴミをそのまま捨てるのではなく、生きた土や堆肥として再生させて、都会だからこそ生まれる「資源」を循環させていけるような仕組みを作ることではないかと考えています。

開園時間は10:00から21:00。休園日は月曜日(月曜祝日の場合は翌平日)。2Fにカフェもあります。

「麗郷」 渋谷店

道玄坂と文化村通りを結ぶ小路(道玄坂小路)にある煉瓦造りの建物。

チョウヅメ(腸詰):麗郷で定番の台湾式ソーセージ。

シジミ(海蜆):これも麗郷の定番。

ナマコと海老の煮込み。

卒後51年経つ、都立青山高等学校のクラス会に2026.2.7参加した。場所は「麗郷」、渋谷の老舗の台湾料理店だ。

麗郷の創業は1955年、かつて恋文横丁と呼ばれた区域に臨む。昔の渋谷を今に伝える店の1つだ。台湾料理をベースにしつつ、戦後日本の「町中華×宴席中華」の流れを色濃く残す店というように、特徴が評価されている。我々のような、渋谷に郷愁を感じる前期高齢者にとって、とても親しみが深い。

当日オーダーした料理は他にも沢山あった。上に掲げた料理写真の3番目、ナマコと海老の煮込みは筆者が希望を出した。ここしばらくナマコ料理というものを食べていないことが気になっていたのだ。ナマコ自体には味がなく、醤油ベース+上湯(シャンタン)のとろみの味で、食感と上湯の旨味を楽しむ料理とされる。

マーク・ハッドン「夜中に犬に起こった奇妙な事件」

円城塔と田辺青蛙の作家夫妻が、交互に本を紹介し合う読書リレー「読書で離婚を考えた」で、円城塔からの課題図書として知った。

自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)の特性を持つ少年の一人称で語られる小説。近所で殺された犬の謎を追うという枠組みで始まるが、事件そのものよりも認知様式の違いが世界の見え方をどれほど変えるかが描かれる。

語りは徹底して論理的で、比喩や感情の含みを排す。多くの読者にとって自然な「察する」「気持ちを汲む」といった理解の回路が前提とされない。そのため読者は、違和感、読みづらさを覚えるがその感覚が重要だ。

本書は、ASDを説明したり理解を促したりする啓発書ではない。むしろ、多数派の認知や感情理解が「標準」として機能していることを、読者に体感させる文学作品である。その意味で、診断名や知識以前に、「なぜ話が噛み合わないのか」「なぜ善意が伝わらないのか」を考えるための、サジェスションを与えてくれる。

筆者も自分が「暗喩」「忖度」「当てこすり」の領域を、不得意分野としていることに気がついた。

藤井啓祐「教養としての量子コンピュータ」

本書は、量子コンピュータを「未来の魔法の計算機」ではなく、いま現実に存在し、課題と制約を抱えた技術として理解するための教養書です。数式を用いず、

  • 古典コンピュータとの本質的な違い
  • 量子コンピュータが得意な問題・苦手な問題
  • なぜ実用化が簡単ではないのか

といった点を、物理・情報科学・社会的背景を横断しながら整理しています。

量子重ね合わせや量子もつれといった概念を過度に神秘化せず、現在の研究現場で実際に問題となっている

  • ノイズ
  • エラー訂正
  • スケールアップの困難さ

といった現実的な制約と結びつけて説明しています。

また、量子コンピュータの5大方式が紹介されています。現在主流の超伝導方式量子コンピュータの写真を富士通・理研の記事から持ってきました。金色に輝き、巨大な希釈冷凍機の内部でほぼ絶対零度でようやく量子ビットが安定します。この姿から量子コンピュータが最先端の実験装置であることが実感できます。

量子コンピュータを「夢」ではなく、現在進行形の科学技術として捉えるための教養を与えてくれる一冊です。

RX-78F00/E EX-001 G.L.R.S.S. Feather UNIT [JAL SPECIAL PACKAGE Ver.]

一昨日犬友から、表題の万博ガンダムコラボのガンプラをいただきました。EXPO 2025 「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」出展機体を1/144スケールで立体化したものです。

「JAL Special Package Ver.」は、JALをイメージしたオリジナルデカールや、JALガンダムJETのパッケージデザインを採用した特別仕様のものです。販売形態が、往復航空券+宿泊を含むJALのオプショナルプラン限定、あるいは機内販売・おうちで機内販売といった限定ルートであることが明記されています。希少性がかなり高いキットと考えて問題ないようです。

とは言っても、転売する気は全くないので価格は気にしていないのですが。

パッケージにRX-78F00/Eガンダムは、モビルスーツが単独で長期にわたり無補給の宇宙空間で活動することを目的とした、再生可能エネルギー運用実証試験機であると書かれています。翼のように見えるものは、高性能太陽光発電セル群の集合体です。

宇宙世紀もののガンダムでは、モビルスーツはミノフスキー物理学(架空の物理学)によって実用化した小型の熱核融合炉を動力源としています。核融合用の燃料はヘリウム3と重水素であり、ほかに推進剤を必要とします。ツィオルコフスキーの公式に従って、推進剤を噴射してロケットは推進します。ツィオルコフスキーの公式が当てはまらないのは、ローレンツ力を利用したテザー推進に限られます。

予約が取れず、GUNDAM NEXT FUTURE PAVILIONの中には入れなかったので、再生可能エネルギー運用実証試験機というものが、どのような文脈で語られたのか筆者にはわかりません。長期間活動するにも推進剤は必要です。

同じ質量の推進剤ならば、燃費が良く長寿命のはやぶさ、はやぶさ2に搭載されたキセノン・イオン推進を主動力に用いるのがもっとも合理的と感じます。低推力で瞬間加速度は小さいので時間はかかります。

この長い時間をパイロットはどうやって生命を維持していくのでしょう。無人機であるか、「シドニアの騎士」のような光合成ができるようになった人類が操縦するという設定を用いないと不可能に思えますが、そのような記載はどこにも見つけられませんでした。

パイロットは人間だが、光合成型バイオスーツで栄養補給が可能といった補助設定が必要かも知れません。

(2026/1/21追記)筆者の勉強不足と誤解がバレてしまう記述でした。宇宙世紀もののガンダムのミノフスキー核融合炉は、ヘリウム3と重水素による第2世代核融合炉と自分で書いておいてわかっていなかった。重水素と三重水素の核融合炉と混同していました。なんのために、シャリア・ブルやパプテマス・シロッコが木星まで行ったのか、ちっとも頭に入っていなかった。D-3He反応では、高エネルギーイオンが発生し、この超高温プラズマを磁場でガイドし、適量のガスを混ぜて推進剤として噴射し、大きな推力を発生させることができるのでした。最高に好きな映画「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号も、D-3He核融合ロケットだということです。

多田富雄「サプレッサーT細胞」

絵がないと寂しいので、多田富雄の著書をここに載せます。

今年のノーベル生理学・医学賞を阪口志文が「制御性T細胞」で受賞されましたが、東大時代の恩師多田富雄の提唱した「サプレッサーT細胞」とどう違ったのかをまとめてみました。

どちらも免疫反応を抑制するT細胞の概念ですが、成立した時代背景、証拠の有無、研究の進展によって大きく性格が異なります。

多田富雄の「サプレッサーT細胞」

1970年代の概念:多田富雄が提唱したのは1971年。ちなみに千葉大学教授から東大教授になったのは1977年でした(筆者はM1の学生)。

問題点:サプレッサーT細胞を明確に同定できる分子マーカーがなく、再現性の乏しい結果も多かったため、1980年代には幻の細胞とみなされ免疫学の主流から退けられました。

阪口志文の「制御性T細胞(Treg)」

1995年の発見:胸腺で分化するCD4+CD25+T細胞が自己免疫を防ぐ抑制的な役割を持つことを報告しました。のちに転写因子FoxP3がその分化と機能のマスター遺伝子であることを示し、Tregは免疫抑制の実在の細胞として国際的に確立されました。

特徴:1)分子マーカーで同定可能。2)自己免疫疾患や移植、アレルギーなどにおいて抑制機能を果たすことが実験的にも臨床的にも証明されました。3)免疫の負の制御が実体を持つことを明確にしました。

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一度は否定された「サプレッサーT細胞」の概念ですが、歴史的な位置付けを考えてみると、免疫には抑制系があるという発想の出発点となっています。多田富雄はその挫折を正直に認めつつ、免疫の抑制系存在の直感は正しかったと後に語っています。阪口志文のTreg発見を喜び、自らの仮説が未来の発見の伏線となったことを誇りに思っていたということです。

1977年当時の東京大学医学部は「東大卒でなければ教授になれない」という慣習が強く残っていました。多田富雄が千葉大出身で東大教授になったのは慣習を打ち破る人事であり、免疫学という新しい学問の旗手として期待を集めたできごとでした。また、学生と一緒に新宿の裏通で飲むといった開かれた性格の方でした。

アラン・レネ「去年マリエンバードで」

前回の投稿でこの映画に触れた。このブログの筆者が最初に出会ったのは学生の時で、名画座の一番後ろ、立ち見で背伸びしながら観た記憶がある。今回手持ちの古いDVDで見直した後、4kデジタル・リマスター版の存在を知りU-NEXTでさらに見直した。

アラン・ロブ=グリエによる脚本を、アラン・レネが監督した1961年のモノクロ映画。難解なことで有名な作品である。

時代も国籍も不明なバロック調の宮殿のようなホテルに宿泊し、社交に興じる客たち。その中に女Aと男X、男Mの3人がいた。MとAは夫婦だが、XはAに対し、1年前に会い、愛し合ったと語りかける。Aは否定するが、Xは1年後に駆け落ちする約束もしたという。

女Aを、デルフィーヌ・セイリグが演じた。彼女の衣装はココ・シャネル自らのデザインである。

そして、2018年にシャネルの主導により、「去年マリエンバードで」の最高精細・最高解像度での4Kデジタル完全修復が実現した。以前のバージョンと比べると、映像のコントラストが格段に良くなり音声もくっきりと聞こえる。詳しい解説のある、4kデジタル・リマスター版公式サイトがWebに作られている。

Wikiによると、後年、脚本のアラン・ロブ=グリエがこの映画の仕掛けについて語っている。

  1. 現在
  2. Xの回想(Xにとっての主観的事実)
  3. Aの回想(Aにとっての主観的事実)
  4. 過去(客観的事実→Mの視点)

の4本の脚本が作られ、それらをバラバラにつなぎ合わせて、最終的な脚本が完成したという。これは、映画を読み解くための大きなヒントとなる情報だ。

円城塔「去年、本能寺で」

歴史を題材にしながら、鮮烈なSF的想像力によって読者を異なる時間と空間に連れ出す野心作です。

織田信長の本能寺を舞台の中心として、過去と未来、現実と虚構を交錯させることで、歴史的事件を一つの「もしも」のシミュレーション空間として提示します。そこでは因果ははずれ、時間は裂け、人物たちはデータのように複製されていく。

従来の時代小説的枠組みを逆手に取り「歴史=固定された過去」という常識を覆すこの作品は、まさにSF小説ならではの実験精神の結晶です。

題名はフランス映画の巨匠アラン・レネの「去年マリエンバードで」(1961)への明確なオマージュとなっています。

「去年マリエンバードで」は記憶と時間、現実と虚構の境界を揺さぶる前衛的な映画で、登場人物の語りも、映像の構成も、観客に「これは現実か幻想か」を問いかけるものでした。円城塔の小説も同じように、「本能寺の変」という歴史的出来事を、確定した過去ではなく、ずれ・反復・仮想が入り込むSFの舞台装置として描いています。

豊永浩平「月ぬ走いや、馬ぬ走い」

沖縄出身、新しい世代の小説。

十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る。豊永浩平の小説「月(ちち)ぬ走(は)いや、馬(うんま)ぬ走(は)い」は、沖縄の方言のリズムを生かしながら、戦争の爪痕と人間の欲望を描き出す力強い作品です。

題名は「月が駆けるように、馬が駆けるように」という古い表現からとられ、時の流れの速さや、人間の生き急ぐ姿を象徴しています。

物語では、沖縄戦で崩れた社会の秩序や共同体の絆が描かれると同時に、その混乱の中で生じた性の乱れや人間関係の歪みも赤裸々に示されます。戦争は人を殺すだけではなく、生き残った人々の生活や価値観をも変えてしまう。その現実を、豊永は沖縄の言葉を通して普遍的なテーマへと昇華させました。

沖縄という土地の記憶から生まれた物語は、世代も地域も越えて、私たち一人ひとりの心に問いかけてきます。

シリア、アレッポの天然石鹸

もう長いこと、左後頭部を中心とした被髪頭部に湿疹が起こっている。シャンプーなどに含まれる合成界面活性剤を問題視して、2008年よりこの17年間ずっと天然石鹸のみで洗っている。

天然油脂が原料で、合成界面活性剤・化学添加物不使用なのが天然石鹸だ。フランスのマルセイユ石鹸「サボンドマルセイユ」が昔から有名だが、2008年ごろはシリア第2の都市アレッポで作られる石鹸の評価が高くなり広まって行った時期だった。そしてシリアというと真っ先に思い出すノンフィクションがあった。歴史や地理の教科書的知識ではなく、物語性があったほうが購買意欲に結びつきやすい。

サダム・フセインが1990年8月にクウェートを侵攻し、多国籍軍による湾岸戦争が始まったのは1991年1月のことだ。英国陸軍特殊部隊SASがイラクの移動式スカッドミサイルを無力化しようと立てた作戦「ブラヴォー・ツー・ゼロ」。任務に失敗し、イラクの隣国シリアに徒歩で逃走ということになった。距離は300km。東京から豊橋までの距離に相当する。

8名の隊員のうち3名が死亡(2名は低体温症で)、4名が捕虜となり、1名のみがシリアに脱出できた。捕虜はイラク軍兵士に拷問された。邦訳の出版は1995年。1999年に映画化。

東京都福生市の株式会社アレッポの石鹸(1994年創業)がシリアのアデルファンサ社製造の石鹸を輸入販売したのが「アレッポの石鹸」だ。着実に販売個数を伸ばしていたが、2011年にシリア内戦が始まると反体制派の拠点だったアレッポは激戦地となった。2014年にはイスラム国がアレッポの一部地域を占拠した。

2014年にアデルファンサ社は国内避難。他の石鹸会社もトルコに難民となったところが少なからずある。トルコ生産の石鹸は「アレッポからの贈り物」「アレッポの石鹸職人から」などのブランド名となっている。

2024年12月に反体制派が首都ダマスカスを制圧、50年以上独裁を続けたアサド政権は崩壊し内戦は終結した。また、2024年12月ユネスコがアレッポの月桂樹石鹸の職人技を無形文化遺産に認定。アデルファンサ社もアレッポに戻って操業している。政情の安定を願う。

通常サイズで「アレッポの石鹸」は180または200グラム。「サボンドマルセイユ」は300グラムだ。どちらも大きいので豪快に使える。天然石鹸は融解しやすいので、トレイを乾かしておく注意が必要だ。ソープディッシュ上に置いた方が石鹸が濡れにくく良い。