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MacOS Venturaに、Mojaveから

Venturaのデスクトップピクチャ

2022.10.24リリース開始のMacOS 13 Venturaにアップデートした。これまでは、MacOS 10.14 Mojaveを使用していた。これは、Mojaveの次のバージョンCatalinaから、古い32ビットアプリケーションに非対応となったので、アップデートを控えていたためだ。

この間にMacOSは10.15 Catalina、11 Big Sur、12 Monterey、そして今回の13 Venturaと4段階も進化していた。

使用感にiPhoneとの格差が開いてきたこと、32ビットアプリケーションの使用頻度が減ったこと、互換性の問題が生じることが多くなったことから、アップデートに踏み切った。

昔はOSをアップデートすると、色々と細かい不都合が発生したが、現在のところ問題なく快調に動いている。

MicrosoftのOfficeは2008年の32ビットアプリケーションを14年に渡って使用していた。2021年版に買い替えた。事務系の仕事ではないのでOfficeの重要性は低く、サブスクリプション契約は不要だからだ。1年に1回くらいに使用頻度が減っていたCS5のAdobe PhotoshopとIllustratorはもう使わないことにした。

Venturaの新しい機能で、iPhoneのカメラとマイクをMacと連係させられる。これは、ZoomなどのWeb会議が増えた現在、活用できるだろう。

ケイト・ベッキンセイル、カーラ・デルヴィーニュ出演「天使が消えた街」

2015年の映画。映画「アンダーワールド」シリーズを支えたケイト・ベッキンセイルと、映画「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」で主役のひとりローレリーヌを演じた、モデルと女優で活躍するカーラ・デルヴィーニュが共演している。レンタルDVDで観た。

監督は、マイケル・ウィンターボトム。

4年前にイタリアのシエナで、イギリス人留学生エリザベスが殺害された。ルームメイトのアメリカ人留学生ジェシカとその恋人が殺人犯として逮捕され、一審判決は有罪だった。控訴審が始まっている。

映画監督で脚本家の、トーマス(ダニエル・ブリュール)が事件の映画化のための調査でシエナに来た。年代の違うふたりの女性と良い仲になるも、映画の構想はまとまらず、脚本は遅々として進まない。

メディアやプロダクションが考える、一般受けする映画の脚本を書くことには抵抗がある。ゲーテの「神曲」三部作の構成を取り入れようと誇大妄想を抱いてみたり、知人が真犯人ではないかと疑って、馬鹿げた振る舞いをしてしまう。そして、「神曲」の第三部「天国篇」のみに従って、被害者エリザベスを讃える映画を作ろうと決意する。

前作品が失敗に終わったトーマスの復帰作となるはずだが、見ていてとにかく仕事が遅いのにイライラさせられた。ケイト・ベッキンセイルとカーラ・デルヴィーニュとの逢瀬が中心となって描かれる。緻密な犯罪サスペンス映画を期待して観てはいけない。

高橋昌一郎「フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔」

「横浜駅SF」で知られたSF作家、柞刈湯葉(いすかり・ゆば)の短編集「まず牛を球とします。」に収載された「沈黙のリトルボーイ」の作者解題で紹介された。参考資料として読んだが、大抵の小説よりも小説だったとある。

「人間のフリをした悪魔」と呼ばれ、宇宙人のような人類を超えた知性を発揮したフォン・ノイマンは、非常に幅広い科学の分野に影響をおよぼした。その逸話は、様々な書籍で目にしてきたが、一冊の本で通して読むのは初めてだった。

序文に「フォン・ノイマン著作集」のタイトルが列挙されている。第1巻「論理学・集合論・量子力学」、第2巻「作用素・エルゴード理論・群における概周期関数」、第3巻「作用素環論」、第4巻「連続幾何学とその他の話題」、第5巻「コンピューター設計・オートメタ理論と数値解析」、第6巻「ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学」だ。

その哲学を推測するにあたって、本書では原爆開発の「マンハッタン計画」での業績、発言、行動の比重が大きく取り扱われているように思える。

きっかけとなった柞刈湯葉の短編集

斜線堂有紀「楽園とは探偵の不在なり」

日本SF作家クラブ編のアンソロジー「2084年のSF」で、斜線堂有紀の作品に初めて出会った。ジョージ・オーウェルの「1984年」から100年後の2084年が舞台ということだけが縛りの短編競作集で、23人の作家が参加してる。

斜線堂有紀の「BTTF葬送」は、2084年の映画界を描いた物語だ。映画の輪廻転生のため、往年の名画は100年で焼却されることになっている。BTTFすなわちバック・トゥ・ザ・フューチャーも2085年に葬送される。

2017年よりミステリー、SF、ライトノベル等のジャンルで斜線堂有紀は活動していて、出版された作品は多数ある。長編ミステリーで最も話題となっていた、本作品を読んでみた。

近年、ミステリー小説界では「特殊設定もの」と呼ばれるブームがあるそうだ。超常現象が起こっていても、論理性を重視した本格ミステリーが語られる。

この小説の世界では、顔がない不気味な天使があちこちにいる。2人を殺害すれば、天使により直ちに地獄に引きずり込まれる。このルールでは、起こり得ないはずの連続殺人事件の謎に挑む。

ミステリが読みたい!2021年版第2位。

キャンディス・バーゲン出演「魚が出てきた日」

映画の紹介。1960年代に飛んで、1968年公開の映画。

1966年に実際に起こった、パロマレス米軍機墜落事故を題材としたブラック・コメディ。スペイン南部の上空で米軍の爆撃機B-52Gと空中給油機KC-135が衝突・墜落し、水素爆弾4つが落下した。

映画ではエーゲ海の孤島カロス島に水爆とプルトニウムと思われる核物質のはいった金属ケースが落っことされる。

監督はマイケル・カコヤニスのギリシャ・イギリス合作。

手塚治虫の「火の鳥」が載っていた漫画雑誌「COM」を、小学生の筆者は愛読していた。本誌に連載された石ノ森章太郎の実験的なイメージ中心の漫画「JUN」にこの映画のシーンが引用されていたので、この映画のことは公開当初から知っていた。

キャンディス・バーゲンが登場するのは、残り40分となってからだ。

リアルタイムに銀幕でキャンディス・バーゲンを観て惹かれたのは、1970年のアメリカン・ニューシネマの代表作の1つ「ソルジャー・ブルー」の方だ。無抵抗の先住民たちに行った無差別虐殺である、サンドクリークの虐殺を扱っている。こちらは広く知られた映画なので、紹介はまた別の時に。

キム・キャトラル出演「ゴーストハンターズ」

引き続き1980年代、おすすめの女優の出演する映画で、現在手に入りにくいものを紹介する。

キム・キャトラルは、1998年から2004年に放映されたTVシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」で世界的にブレイクした。1980年代に出演した映画も人気がある。今回紹介する1986年の「ゴーストハンターズ」と、1987年の「マネキン」が一見に値する。ただし、どちらも日本語字幕・吹き替えのDVDは現在手に入れるのは困難だ。「ゴーストハンターズ」は、配信で観ることができるが、「マネキン」は配信もない。

手持ちのDVDで、「ゴーストハンターズ」を見直した。原題はBig Trouble in Little Chinaであり、こちらを覚えておかないと、有名な「ゴーストバスターズ」と混同してしまう。

1980年代後半は、キョンシーの出る「霊幻道士」シリーズが流行り、中国が舞台のカンフーアクション・ホラーの集客力が高かったのだ。「ゴーストハンターズ」は、サンフランシスコのチャイナタウンで繰り広げられるアメリカ映画。ノンストップ・SFXアクション・アドベンチャーと銘打たれ、カンフー、モンスター、ゴースト、魔法なんでもありだ。監督は、ジョン・カーペンター。

ジャックとワンの二人組が主人公。ワンの彼女で緑の瞳を持つ、中国からの留学生が魔法使いたちにさらわれた。キム・キャトラル演じる主人公たちの相棒も、緑の瞳をしていた。

「マネキン」のキム・キャトラル。こちらはロマンティック・コメディ。

ロザンナ・アークエット出演「800万の死にざま」

前回に引き続いて、推しの女優の埋もれた作品の紹介。1986年の作品で、未だDVD化されていない。

ロザンナ・アークエット出演の映画で有名なのは、スーザン・シーデルマン監督、1985年の「スーザンを探して」と、リュック・ベッソン監督、1988年の「グラン・ブルー」。2つの名作に挟まれて、このまま忘れ去られてしまうのかと危惧する。映画全体の出来はほどほど。娼婦役のロザンナ・アークエットの魅力は充分。GYAO!で配信されていたので見直した。

監督はハル・アシュビー。ローレンス・ブロックの小説、アル中、元警官の探偵、マット・スカダー・シリーズの5作目「八百万の死にざま」が原作。原作の一人称の語りの妙味とは、映画は方向性が異なる。

アル中探偵マシュー(ジェフ・ブリッジス)に助けを求めてきた娼婦サニーが殺される。サニーの友人の娼婦サラ(ロザンナ・アークエット)に接近するマシュー。麻薬の売人エンジェル(アンディ・ガルシア)が犯人と確信でき捜査を進めるが。

印象に残るアイテムは、コールガール組織の元締めの豪邸への入り口となるケーブルカー。犯人と腹のさぐりあいをしながら食べるかき氷。あっさりと燃えてしまう、証拠となるはずの大量のコカイン。

「スーザンを探して」、「グラン・ブルー」、1989年の「ニューヨーク・ストーリー」を観て、ファンになったらどうぞ。

ナスターシャ・キンスキー主演「ハーレム」

1985年の作品である。筆者の最も敬愛する女優ナスターシャ・キンスキーが、最高に美しい時に撮られた映画として、記憶に染み付いている。彼女の出演作はほとんど観ているので、好きな作品は数多く列挙できる。筆頭に来るのは、やはりロマン・ポランスキー監督の「テス」なのだが。

「ハーレム」は、長らくDVD化されなくて中古VHSしか持っていなかった。いつの間にか、2020年9月にDVD、BDが出ていたが気づかなかった。今回価格を下げて新盤が出たので、BDを買って見直した。

ニューヨーク、ウォール街で働くダイアンは、突然何者かに誘拐された。目が覚めるとそこは砂漠の中の城。石油王のハーレムだった。

物静かで知的な石油王セリムは、映画「ガンジー」(1982)でマハトマ・ガンジーを演ったベン・キングズレーだ。今見るとどうしてもガンジーの姿が重なってしまう。「ハーレム」を最初に観たときは、まだ「ガンジー」を観ていなかったのだろう。

ハーレムという言葉から筆者が夢想するものや、VHSの煽り文句とは舞台設定がかなり異なる。セリムが父親から相続したハーレムのメンバーは、父親の親族が多く、絶対的な服従関係など存在しない。官能に溺れることなく、ダイアンとセリムの淡い純愛物語が紡がれる。そして、このハーレムはもろく簡単に壊れていく。

監督はアルテュール・ジョフェ。フランス映画である。

トム・クルーズ主演「トップガン マーヴェリック」

公開3日目にあたる2022年5月29日に映画「トップガン マーヴェリック」を観ました。実機内にIMAXカメラ6台を搭載して撮影した、現実のスカイアクションの映像には興奮させられました。現在の素晴らしい興行成績が物語るように、多くの観客の心を掴んだのは確かです。

困難なミッションに挑む機種は、現在の米海軍の主力機、F/A18E/Fスーパーホーネット。映画「インデペンデンス・デイ」などで登場した、旧来型のF/A18ホーネットより、機体が一回り大きく、エアインテークが平行四辺形状で拡大したのが外見上の特徴となります。

笹本祐一の小説「星のパイロット」の中で描かれる、ホーネットによるコブラ機動、(失速寸前まで速度を落として、機首を上げそのまま同じ方向に飛んでいく)も見ることができます。完璧なプガチョフ・コブラが進行方向に対し90度の機首上げを行うのだとしたら、それに準じた80度くらいのコブラです。

最初の「トップガン(1986)」で主役だった、懐かしのF14トムキャットも登場し活躍します。F14の米海軍への配備は1973年。可変翼機であることから当時高校生だった筆者のお気に入りだった機種です。惜しむらくは、高校の同級生に飛行機について語り合える友人がいませんでした。日本の自衛隊にも配備されたF4ファントムは、ベトナム戦争で有名になったのでさすがに知られていましたが。

映画中、第5世代戦闘機と呼ばれて、F14と対戦するのがSu-57フェロン。ステルス機の優位性は描かれていないように思えました。顔がわからないヘッドマウントディスプレイをパイロットがかぶっていると、悪役以外の何物でもありません。

蜷川実花「xxxHOLiC」

2022年4月30日、映画館で映画「xxxHOLiC」を観た。監督は、「さくらん」「ヘルタースケルター」「人間失格 太宰治と3人の女たち」の蜷川実花。CLAMPの伝説的名作と言われる漫画の、初実写映画化である。

CLAMPのダークファンタジーの世界を、蜷川実花のカラフルな映像が描き出す。

「アヤカシ」が視える高校生、四月一日君尋(わたぬききみひろ)を神木隆之介が、不思議な「ミセ」の女主人壱原侑子を柴咲コウが演じる。

映画オリジナルキャラクターのアカグモを、舞台「泥人魚」で浦上蛍一の役をこなした磯村勇斗が演った。主人公たちと敵対する魔女、女郎蜘蛛(吉岡里帆)配下の人間である。監督の思いが凝縮して詰まっているからか、最も魅力的な役に見えた。衣装のネックチョーカーが際立った存在感を発揮する。

四月一日君尋の学ランを含めて、衣装全般が凝りに凝って作り込まれていた。学ランはいずれコスプレ衣装としてファンも製作することだろう。

お話の後半は、女郎蜘蛛により閉じ込められた永遠に続く同じ日、4月1日からの脱出となる。繰り返される同じ日々の映像を観るのは、「涼宮ハルヒの憂鬱」の永遠に続く夏休み「エンドレスエイト」以来だ。言葉では実感できなくても、映像として見せられると、同じ日々を繰り返すことの辛さと一抹の幸福感がわかる。

CLAMPで最も有名なのは、「カードキャプターさくら」で、筆者の娘が子供のとき染まっていた。筆者の年代は親として作品との同世代性を感じる立場にある。