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堤幸彦「サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜」

前回に引き続き、世間様とは食い違って筆者の評価が高い映画を紹介いたします。ホラーというジャンルはどちらかと言えば嫌いですが、またホラー映画です。3Dアクションホラーゲームの「SIREN」が原作ということになってますが、ゲームとは別物と考えたほうがいいのでしょう。ゲームが原作の映画にありがちなこととして、ゲームをプレイした視聴者はぼろくそに悪く言い、ゲームと無縁の人はそれなりの評価をする傾向があります。本作の一般レビューにも当てはまります。筆者も、原作ゲームはまったくやっていません。映画のみを観て好評価を出しています。

主演は映画「海を感じる時」(2014)で体当たりの演技を披露した市川由衣で、映画初主演がこの2006年の「サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜」となります。監督は「銀幕版スシ王子!」「20世紀少年3部作」「はやぶさ/HAYABUSA」の堤幸彦です。

映画の舞台となる夜美島のロケは八丈島で行われました。この映画の最高にいいところは、八丈島の風光明媚な自然と独特な街並みです。評価基準が前回の投稿と同じですね。空路で東京から55分と決して遠くはない八丈島ですが、機会がなく一度も行ったことがありません。たかまつやよいの漫画「流されて八丈島」は読んでいますが。

背景に流れる音響をこだわりを持って作り上げていて、世界初サウンド・サイコ・スリラーのキャッチコピーが付けられています。ホラー映画によくあるだろう、後を引く陰湿な感じがないことで救われた思いがします。

謎のサイレンの音とともに、人魚伝説が絡んで物語は進行していきます。人魚姫らしい赤い衣の少女(高橋真唯)の謎は最後まで明かされません。松尾スズキの「島を徘徊する男」が、好き勝手な動きをしてるところが演技としていい感じです。クライマックスの鉄塔のシーンは、御殿場の実際の鉄塔を使い、高さ20メートルで撮影したとWebに書かれています。

最後のシーンで、屍人大虐殺へと突き進んでいくことが示唆されます。続編があるとしたら、今度はアクション映画となるでしょう。ルースター・ティース制作「RWBY」の”Red”のトレイラーが思い浮かびました。

リチャード・スタンリー「ダスト・デビル」

個人的に筆者にとっては評価が高いのに、世間一般では忘れ去られてしまった映画を紹介します。1992年のホラー映画「ダスト・デビル」です。2つ前の勤務先、東京船員保険病院(現JCHO東京高輪病院)の当直室で1995年ごろ観たのが最初の出会いでしょう。DVDは未発売ですが、中古で買ったVHSは持っています。

舞台は、アフリカのナミビア。ナミビア沖では、日本の遠洋マグロ延縄漁船が操業しています。遠隔の地ではあっても、日本との縁はしっかりとある国です。延縄漁の1年半にも及ぶ航海はさぞかし大変なことと想像いたします。

砂漠の悪魔ダスト・デビルが、存在の次元を高めるために猟奇的連続殺人を行うというストーリーです。ナミビアの景勝地でロケをしていて、映画がそのまま観光案内になっているところが特に気に入っています。ナミブ砂漠は、いつかは旅行してみたい憧れの地です。主人公の女性ウェンディが悪魔とともに立ち寄る、ナミビア最南端に位置する大渓谷フィッシュリバー・キャニオンの光景は、TVの画面では残念ながらその迫力が伝わってきません。できることならば映画館のスクリーンで見たかった。

かつてダイアモンド鉱山の拠点として栄えた砂の中に埋もれている街、コールマンスコップのゴーストタウンで、お話はクライマックスを迎えます。超自然の存在から逃れることができるのでしょうか。

コートジボワールに赴任した経験のある古くからの友人に、この映画の話をしたところ、「ナミビアは治安のいい国だ。内戦をやっている国の凄惨さは悪魔の恐怖とは桁が違う」と言われました。確かにそのとおり。