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「怪人カリガリ博士」(1962)

ドイツ表現主義映画の名作「カリガリ博士」(1920)とは、別のものである。白黒映画ではあるが、サイレント映画ではない。筆者が小学生の時、TVで見て心に焼き付いていた「カリガリ博士」は、1920年の作品ではなかった。やっと探し当てることができた。Wikipediaによると、土曜映画劇場での吹替版の放送は1969年7月で筆者は12歳である。

監督はロジャー・ケイ。脚本は「サイコ」の原作者ロバート・ブロックだ。

映画の内容はほとんど忘れていたが、映画クライマックスの悪夢の中の悪夢、パン焼窯のシーンから、この映画が探し求めていたものであることを同定できた。

自動車旅行をしていたジェーンは、タイヤがパンクしたため近くの屋敷に助けを求めた。屋敷の主人の名はカリガリだった。ジェーンは屋敷から出られず、外との連絡もできないことに気づく。屋敷の客は大勢いて、みな好意的であるのだが、自分と似た境遇に置かれているようだ。

2018年に観た、シス・カンパニーの芝居、ジャン=ポール・サルトルの「出口なし」と、出られないという点では類似性を感じた。サルトルの本当に閉塞した状況とは異なる予想通り、あるいは記憶通りの展開で、ほっと安堵した。

1920年の「カリガリ博士」。奇抜で歪んだセットが素敵。