月別アーカイブ: 2021年3月

アグニェシュカ・ホランド「赤い闇」


映画「ソハの地下水道」で知られる、アグニェシュカ・ホランド監督のポーランド映画「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」をレンタルDVDで観た。

この映画を見るまで、ホロドモールと呼ばれる集団殺害のことはまったく知識がなかった。1932年から1933年にかけて、ウクライナ人が住んでいた地域でおきた人工的な大飢饉で、400万人から1,450万人が死亡したとされる。スターリンによる「ウクライナ人に対するジェノサイド」であると、すでに十数カ国で認定済だ。人道に対する罪として認定した国も多い。20世紀の悲劇として、ナチス・ドイツによるホロコーストと並べられる。

映画は実在したジャーナリスト、ガレス・ジョーンズによる告発を描き出す。

ピューリッツァー賞を受賞しているニューヨーク・タイムズの記者、ウォルター・デュランティが、取材の継続を望む道化の操り人形と成り果て、ソ連に忖度して大飢饉の事実を否定する。

ウクライナに潜入したジョーンズは吹雪の中食べるものがなく、民衆と同じように木の皮を食べ飢えをしのいだ。子供たちによるカニバリズムのシーンも、乾いた描写で挿入される。