月別アーカイブ: 2021年6月

村瀬修功監督、富野由悠季原作「閃光のハサウェイ」

上演延期を繰り返していたガンダムアニメ映画「閃光のハサウェイ」が、やっと公開された。

富野由悠季の原作はスニーカー文庫から1989年に出版され、名作との評価を勝ち得ている。映画は三部作の第1作にあたり、これからさらに2作作られる予定だが、詳しい日程などは発表されていない。小説の結末はネタバレ禁止だ。ショックを受けた記憶が鮮明に残っている。

「逆襲のシャア」から12年後が舞台となり、続編的位置づけで小説は書かれていた。ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアが主人公である。

ハサウェイの乗るクスィーガンダムと、これと戦う地球連邦軍のペネロペーはミノフスキー・クラフトを搭載し、大気圏内を自由に飛行できる。大型化していった時代のモビルスーツだ。

コックピット内の映像は、VRゲームのようで3D感にあふれている。音響もすごい。3DCGを利用したキャラクター造形は、好みの分かれるところだろう。

小説では、オーストラリアのアデレードとダーウィンの位置を頭に入れておくのに苦労した思い出があるが、地名は変更になったのかダーウィンという街は出てこなかった。

第1作は、話としてはまだ序盤であり今後の展開を待つ。

劉慈欣「三体III死神永生」

「三体」3部作の最終巻、「死神永生」が2021.5.25に発売となりました。

作者、劉慈欣のインタヴューによると、「三体I」「三体II黒暗森林」は、SFファン以外の読者にもわかるよう書いてという出版社の意向に沿った部分がありますが、第3部「死神永生」は純粋にSFファン向けに全開で書いたということです。

新しい主人公として、若き女性エンジニア程心(チェン・シン)を迎え、彼女を中心としてストーリーは進行していきます。そして、全宇宙サイズの規模と宇宙の終末までの時間的広がりを持つメタフィクション的物語世界だったことに理解が追いつきます。

冒頭に入れられた歴史、コンスタンチノープル陥落が、4次元世界との邂逅が過去にあったことを示していることに気づかされますが、歴史小説として読んでこの部分も面白い。Netflixオリジナルドラマ「オスマン帝国:皇帝たちの夜明け」を観て知識を補完しました。

三体未読の方は、第1巻「三体」からページを開いてください。