月別アーカイブ: 2022年6月

ロザンナ・アークエット出演「800万の死にざま」

前回に引き続いて、推しの女優の埋もれた作品の紹介。1986年の作品で、未だDVD化されていない。

ロザンナ・アークエット出演の映画で有名なのは、スーザン・シーデルマン監督、1985年の「スーザンを探して」と、リュック・ベッソン監督、1988年の「グラン・ブルー」。2つの名作に挟まれて、このまま忘れ去られてしまうのかと危惧する。映画全体の出来はほどほど。娼婦役のロザンナ・アークエットの魅力は充分。GYAO!で配信されていたので見直した。

監督はハル・アシュビー。ローレンス・ブロックの小説、アル中、元警官の探偵、マット・スカダー・シリーズの5作目「八百万の死にざま」が原作。原作の一人称の語りの妙味とは、映画は方向性が異なる。

アル中探偵マシュー(ジェフ・ブリッジス)に助けを求めてきた娼婦サニーが殺される。サニーの友人の娼婦サラ(ロザンナ・アークエット)に接近するマシュー。麻薬の売人エンジェル(アンディ・ガルシア)が犯人と確信でき捜査を進めるが。

印象に残るアイテムは、コールガール組織の元締めの豪邸への入り口となるケーブルカー。犯人と腹のさぐりあいをしながら食べるかき氷。あっさりと燃えてしまう、証拠となるはずの大量のコカイン。

「スーザンを探して」、「グラン・ブルー」、1989年の「ニューヨーク・ストーリー」を観て、ファンになったらどうぞ。

ナスターシャ・キンスキー主演「ハーレム」

1985年の作品である。筆者の最も敬愛する女優ナスターシャ・キンスキーが、最高に美しい時に撮られた映画として、記憶に染み付いている。彼女の出演作はほとんど観ているので、好きな作品は数多く列挙できる。筆頭に来るのは、やはりロマン・ポランスキー監督の「テス」なのだが。

「ハーレム」は、長らくDVD化されなくて中古VHSしか持っていなかった。いつの間にか、2020年9月にDVD、BDが出ていたが気づかなかった。今回価格を下げて新盤が出たので、BDを買って見直した。

ニューヨーク、ウォール街で働くダイアンは、突然何者かに誘拐された。目が覚めるとそこは砂漠の中の城。石油王のハーレムだった。

物静かで知的な石油王セリムは、映画「ガンジー」(1982)でマハトマ・ガンジーを演ったベン・キングズレーだ。今見るとどうしてもガンジーの姿が重なってしまう。「ハーレム」を最初に観たときは、まだ「ガンジー」を観ていなかったのだろう。

ハーレムという言葉から筆者が夢想するものや、VHSの煽り文句とは舞台設定がかなり異なる。セリムが父親から相続したハーレムのメンバーは、父親の親族が多く、絶対的な服従関係など存在しない。官能に溺れることなく、ダイアンとセリムの淡い純愛物語が紡がれる。そして、このハーレムはもろく簡単に壊れていく。

監督はアルテュール・ジョフェ。フランス映画である。

トム・クルーズ主演「トップガン マーヴェリック」

公開3日目にあたる2022年5月29日に映画「トップガン マーヴェリック」を観ました。実機内にIMAXカメラ6台を搭載して撮影した、現実のスカイアクションの映像には興奮させられました。現在の素晴らしい興行成績が物語るように、多くの観客の心を掴んだのは確かです。

困難なミッションに挑む機種は、現在の米海軍の主力機、F/A18E/Fスーパーホーネット。映画「インデペンデンス・デイ」などで登場した、旧来型のF/A18ホーネットより、機体が一回り大きく、エアインテークが平行四辺形状で拡大したのが外見上の特徴となります。

笹本祐一の小説「星のパイロット」の中で描かれる、ホーネットによるコブラ機動、(失速寸前まで速度を落として、機首を上げそのまま同じ方向に飛んでいく)も見ることができます。完璧なプガチョフ・コブラが進行方向に対し90度の機首上げを行うのだとしたら、それに準じた80度くらいのコブラです。

最初の「トップガン(1986)」で主役だった、懐かしのF14トムキャットも登場し活躍します。F14の米海軍への配備は1973年。可変翼機であることから当時高校生だった筆者のお気に入りだった機種です。惜しむらくは、高校の同級生に飛行機について語り合える友人がいませんでした。日本の自衛隊にも配備されたF4ファントムは、ベトナム戦争で有名になったのでさすがに知られていましたが。

映画中、第5世代戦闘機と呼ばれて、F14と対戦するのがSu-57フェロン。ステルス機の優位性は描かれていないように思えました。顔がわからないヘッドマウントディスプレイをパイロットがかぶっていると、悪役以外の何物でもありません。