月別アーカイブ: 2024年5月

カグラナナ「Astrolabe」

VTuberカグラナナの1stアルバム、2023.8月に出ていた。

YouTubeのカグラナナchannel/ななかぐら はチャンネル登録者数44.1万人。もともとイラストレーターであり、イラストレーターとしての名義がななかぐらで、VTuberとしての名義がカグラナナということだ。

カグラナナは、2021年7月からのアニメ「探偵はもう、死んでいる。」の40mPによるエンディングテーマ「鼓動」の歌唱を担当している。

「Astrolabe」のDISC2、2曲目がryo(supercell)の「ブラック★ロックシューター」のカバーだ。原曲はsupercellのデビューアルバム「supercell」に収録されている。2009年3月のアルバムだ。思い出が重い。

【歌ってみた】のYouTube動画が公開されている。黒髪ではない、カグラナナの髪の色と体型のブラック★ロックシューターが、hukeの原イラストに縛り付けられていた心の鎖を外してくれた。

高山一実原作 映画「トラペジウム」

乃木坂46 一期生、現役のアイドルが2018年に小説を出版した。30万部の大ヒットとなり、アニメ映画が公開中である。

城州東高校1年生の東ゆうは、他の3つの方角、西、南、北の美少女を仲間にして、アイドルとしてデビューするセルフプロデュースを行なっている。身勝手で強引な意図から始まった計画だが、「東西南北」の4人はとても仲の良い友達となった。

ロボコン大会、文化祭などのイベントを経て、北の少女、亀井美嘉が行っていたボランティア活動に参加した4人は、ゆうの目論見どおりテレビ出演を果たし、そこから「東西南北」アイドルデビュープロジェクトが発動された。しかし問題が発覚した。

ちょうど筆者の高校(都立青山高校)のクラス会が、50年の時を隔てて開催された。学年全体での同期会は2010年に始まっていたが、クラス単位で集まるのは初めてだったのだ。物故者を含めて総勢44名の半数22名がLINEでつながり、夜の会にはそのうちの16名が参加した。このメンバーで過ごした期間はたったの2年間。過去を振り返る内容よりも、圧倒的に現在やこれからの話題が中心だった。

「東西南北」4人の友情は壊れず続いている。これがどんなに貴重なことか。細切れの「トラペジウム」本編映像は、YouTubeで公開されている。「彼氏がいるんだったら友達にならなきゃよかった」編は、ゆうの主人公らしからぬ言動が注目を集めた。

米澤穂信「冬季限定ボンボンショコラ事件」

米澤穂信の「小市民シリーズ」の完結編が出版された。第1巻の「春季限定いちごタルト事件」が出たのは2004年である。シリーズ番外編「巴里マカロンの謎」は2020年に発行されているが、「冬季限定」は2009年の「秋季限定栗きんとん事件」から15年待たされた。

高校生を主人公とした、日常の謎系を中心としたミステリーである。主人公小鳩常悟朗が狐なら、その相方小佐内ゆきは狼とされる性格で、キャラクター造形のギャップが心地よい。

筆者が米澤穂信を知ったのは2006年のことで、「犬はどこだ」、「春季限定いちごタルト事件」、「夏季限定トロピカルパフェ事件」、「さよなら妖精」、「クドリャフカの順番」、「ボトルネック」と読んでいっている。

世に出た時期がダブるとされる小説家、桜庭一樹の作品は2005年に、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」から始まって、「推定少女」、「少女には向かない職業」、「ブルースカイ」とこなしている。

いまでは2人とも直木賞作家である。米澤穂信の方は、守備範囲も広がって最近の活躍は目覚ましいものがある。「冬季限定ボンボンショコラ事件」の謎は、より重層化し緻密となっている。

本シリーズ未体験の方は、第1巻から紐解いていってほしい。

唐十郎「ひやりん児」(2011)

2024.5.4 唐十郎が死去した。死因は急性硬膜下血腫。

2012年5月に自宅前で転倒、重症な脳挫傷を発症した。回復し、エッセイ集「ダイバダッタ」を2015年に刊行したが、舞台への復帰と新作戯曲の発表は叶わなかった。

筆者が、唐さんの出演する舞台を最後に観たのは、2011年6月の唐組公演「ひやりん児」、花園神社・紅テントということになった。2011年秋公演「西陽荘(にしびそう)」は観ていない。

「ひやりん児」のあらすじ:豆腐売りの青年は妹とともに、情け心から失踪したおじさんを探す内、宝石やら漁業権やら、しがらみのある人々の争いに巻き込まれ、隠された事の真相に迫っていく。

この時も唐さんは、恒例の水槽潜りを披露した。

このブログに以前記したが、筆者の紅テント体験は、1975年秋の「糸姫」から始まった。劇団は「状況劇場」から「唐組」へと変わり、出演する俳優も入れ替わり、筆者の公演を観る頻度も時期により変化していったが、持続的に紅テント公演を続けていった唐さんのエネルギーには敬服を禁じ得ない。

古い仲間の中で、偲ぶ会の計画が持ち上がっている。