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雨宮慶太「ゼイラム」

1991年の雨宮慶太監督作品。2003年にDVDでも販売された。

あらすじはピクシブ百科事典より。

異星人の賞金稼ぎイリアは、逃走した太古の生物兵器ゼイラムを捕獲するため、地球上に制限時間付きの無人密閉空間ゾーンを作る。ところが些細な偶然から、二人の地球人がそこに入り込んでしまう。ゾーンは制限時間を迎えると、空間の中身ごと消滅する。足手まといの彼らを守りながら敢行されるイリアのゼイラム捕獲作戦とゾーンからの脱出は成功するのか。

ゼイラムの姿は三度笠を被った人間に似ている。笠の中心に小さな能面のような顔があり、粘液に包まれ長い頸部が伸び縮みする。ここの造形が最高に不気味だ。

イリアを演じたのは森山祐子

ヴィクトリア・アブリル主演「死んでしまったら私のことなんか誰も話さない」

1995年のスペイン映画。DVDになっていない。アグスティン・ディアス・ヤネス監督。タイトルが長いことで有名な映画だが、なかなかの名作だと思う。

メキシコシティ。麻薬取引の場に呼ばれた売春婦グロリア(ヴィクトリア・アブリル)の目の前で、潜入捜査の二人の刑事が殺された。マネーロンダリングの組織ファイルが彼女の手に渡る。グロリアはマドリッドに送還された。夫は人気闘牛士だったが牛に突かれて3年前から植物状態。姑のマリア(ピラル・バルデム)が息子を看病し、アパートのローンを返済してきた。彼女はグロリアに何も問いたださず、ただ自立した女になれと説教する。グロリアはアル中、中卒の定職を持たない売春婦で精神的に情けなく弱い。

スペイン人にとって最大のご馳走であるメルルーサは怖い顔をしてる。姑の友人達とのホームパーティで、グロリアはメルルーサ料理を振る舞いたかった。定職探しに頑張っていたのに、アル中の売春婦に戻ってしまう。

半分は組織の内紛のため、残り半分は自力で暗殺の手を逃れた。姑の支援が功を奏して、弱かったグロリアはゆっくりと強くなっていく。

ブリジット・フォンダ出演「アイアン・メイズ ピッツバーグの幻想」

ブリジット・フォンダの抜けるような白い肌に感銘を受けたことがあるなら、観ないわけにはいかない映画。DVDになっていない。吉田博昭監督作品。

日本人青年実業家のスギタ(村上弘明)は、ピッツバーグ郊外の製鉄所跡地を買収し大遊園地を建設しようとしていた。彼の妻、クリスをブリジット・フォンダが演じる。スギタは、製鉄所内で何者かに襲われ瀕死の重症を負った。

1991年の映画で日本はバブル経済の最期の足掻きの時期。現実では、その後の経済復興に失敗し失われた30年の始まりの時だ。これに対し、現実のピッツバーグの方は、1970年代に地元鉄鋼業が衰退に転じ工場は相次いで閉鎖に追い込まれ、街には大量の失業者があふれた。しかし1980年代には、従前の産業構造から脱却し、ハイテク、保険、教育、金融を中心とした地域経済へと移行することにより活気を取り戻している。

製鉄所跡の廃墟、巨大な鉄の迷宮は描き出されている。これに対峙する存在が、御曹司のコキュの道化ではちょっと。あの頃は、ダブルのスーツが流行ったなあと男性ファッションの懐古に浸るしかない。

あくまでも、ブリジット・フォンダを観るために時間を割いているのだ。