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藤井太洋「マン・カインド」

2045年、国際独立市テラ・アマソナスの指導者チェリー・イグナシオは、軍事企業〈グッドフェローズ〉に公正戦での戦いで勝利した。しかし、捕虜を虐殺してしまう。これを報道しようとした迫田城兵は、事実確認プラットフォームにより配信を拒否される。

以下の記述には、ネタバレを含みます。

未来の戦争の形が、根拠ある推論により導き出された。戦闘の中心となる戦闘員には特殊能力がある。また、量子コンピューティングによりITを革新した天才企業の社員たちの数学能力も常人ではありえない。

体外受精でアメリカで生まれたということが共通項だった。チェリー・イグナシオをテストベッドとし、体外受精の1%で勝手に遺伝子編集が行われていたのだ。

いわゆるデザインドベイビーの社会を扱った物語は多い。ガンダムSEEDのコーディネーターがまず思い浮かぶ。「マン・カインド」ではその成り立ちの、起こりうる形が詳細に書かれている。

体外受精の黎明期を題材にしたミステリー、山口美桜の「禁忌の子」も最近読んだばかりだった。こちらは秘密裏に行われた非配偶者間体外受精がもたらした悲劇を描いている。まだ、遺伝子改変の時代ではなく特殊能力は付与されていない。

最後の戦闘で登場する、銃弾をすべて避ける力を持った部隊。アニメ「リコリス・リコイル」の錦木千束の能力は計算上あり得るのか。彼女が7人もいたら…疲れるな。