表紙イラストは、「さよならピアノソナタ」「ib インスタントバレット」「かぐや様は告らせたい」の赤坂アカ。コミックスになった連載マンガはすべて読んでいる。ジャケ買いした。
早川書房によると、伴名練は寡作ながら発表した短編のほとんどが年間日本SF傑作選に収録され、高い評価を得ている逸材だと。その初のSF短編集だ。全6篇。
私のSF小説の嗜好にマッチした。
イラストだけを見て、表題作「なめらかな世界と、その敵」を読み始めた。第2章で、いくつもの並行世界を行き来できる世界設定はちゃんと説明されるが、まったく予備知識がないと第1章は苦しいかも。最後は、陸上に賭ける少女2人の青春小説となり、爽快感にあふれる。
「シンギュラリティ・ソビエト」。1960年代にソ連の人工知能「ヴォジャノーイ」がシンギュラリティを突破した。ダークな歴史改変もの。この作品が一番好きだ。大量の赤ん坊の群れが人工知能通りを整然と進んでいく。人間は脳の半分を、ヴォジャノーイに演算資源として提供している。
書き下ろしの時間SFもの、「ひかりより速く、ゆるやかに」。時間SFの幾多の名作が小説中で紹介されている。この部分の拡大版、作者のSF愛を伝える長文の「あとがきにかえて」がWeb上で公開中だ。
https://www.hayakawabooks.com/n/n074ba53b3392
「ひかりより速く、ゆるやかに」の冒頭、試し読みはこちら。