「紙の動物園」のケン・リュウが、編纂・英訳を行い、その邦訳として2018年に出版された現代中国SFアンソロジー「折りたたみ北京」は、多くの読者を獲得した。これに続く現代中国SFアンソロジー第二弾が「月の光」だ。14人の作家による16篇が収載されている。
もっとも胸を打ったのが宝樹(バオシュー)の「金色昔日」だった。作中の世界では、歴史がわれわれの世界とは逆向きに進行する。繁栄の日々は過去のものとなり様々な出来事を経て、毛沢東と文化大革命の時代から、蒋介石と中華民国の時代に移っていく。過酷な歴史に翻弄される主人公の生涯、幼馴染の恋人との別れ、再会、また別れが描かれる。
途中語られる「朝三暮四」の故事に色々考えさせられた。猿に栃の実をあたえるとき、朝に三個、夜に四個やると、猿は怒った。そこで朝に四個、夜に三個やると、猿はよろこんだと。時間の流れ方により現在の状況は変わろうと、幸せの総量は同じということか。
Twitterから、「折りたたみ北京」が中国で映画化されるニュースが飛び込んできた。
https://virtualgorillaplus.com/movie/folding-beijing-adoptation/