スタニスワフ・レム「インヴィンシブル」

スタニスワフ・レムの作品で一番好きな、ファーストコンタクト三部作の三番目がポーランド語原典からの新訳となった。邦題「砂漠の惑星」で出版されてたやつだ。このブログには2020年5月6日に投稿した。以前のはロシア語からの重訳だった。原題の「無敵号」を英語にして「インヴィンシブル」が新しいタイトル。

あらすじを、巻末の沼野充義の解説から引用する。宇宙船インヴィンシブル号は、行方を絶ったコンドル号を捜索するために、琴座のレギスIII惑星にやってくる。そこでコンドル号の乗組員たちを襲った原因不明の不可解な大量死に直面し、謎が突き付けられる。インヴィンシブル号の乗組員たちは、その謎を解明するために惑星の探検を続け、奇怪な都市(のようなもの)の廃墟や、小さな金属製の「虫」が群れを成して作る恐るべき黒雲に遭遇する。

1964年の作品で、本邦初訳は1968年。ハヤカワ文庫に収録されたのが1977年である。筆者が読んだのは1979年ごろだ。

多数の小さな虫が群体を成して攻撃してくる。このイメージは、他の作家の作品にも散見される。ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」は岩波書店から厚いハードカバーで邦訳が1982年に出版された。筆者は1984年ごろ、映画化される前に読んでいる。小さな「虫」が集まって大蜘蛛の姿を取る群集者イグラムールに、幸いの竜フッフールが襲われている所に出会い救うのだ。

映画「ネバーエンディング・ストーリー」は1984年公開で、コンピューターグラフィックス(CG)の時代の前のローテク・オンリーの作品だ。イグラムールの映像化は無理と、影も形も出てこない。全面的にCGが使われた映画「トロン」が1982年にすでに存在しているのだが。

2008年の映画「地球が静止する日」は、1951年の映画「地球の静止する日」のリメイクである。宇宙人クラトゥをキアヌ・リーブスが演じた。巨大ロボット、ゴートが虫型ナノマシンに姿を変え、人類を滅ぼそうとする。もちろんCGで描かれた。