蜷川実花「xxxHOLiC」

2022年4月30日、映画館で映画「xxxHOLiC」を観た。監督は、「さくらん」「ヘルタースケルター」「人間失格 太宰治と3人の女たち」の蜷川実花。CLAMPの伝説的名作と言われる漫画の、初実写映画化である。

CLAMPのダークファンタジーの世界を、蜷川実花のカラフルな映像が描き出す。

「アヤカシ」が視える高校生、四月一日君尋(わたぬききみひろ)を神木隆之介が、不思議な「ミセ」の女主人壱原侑子を柴咲コウが演じる。

映画オリジナルキャラクターのアカグモを、舞台「泥人魚」で浦上蛍一の役をこなした磯村勇斗が演った。主人公たちと敵対する魔女、女郎蜘蛛(吉岡里帆)配下の人間である。監督の思いが凝縮して詰まっているからか、最も魅力的な役に見えた。衣装のネックチョーカーが際立った存在感を発揮する。

四月一日君尋の学ランを含めて、衣装全般が凝りに凝って作り込まれていた。学ランはいずれコスプレ衣装としてファンも製作することだろう。

お話の後半は、女郎蜘蛛により閉じ込められた永遠に続く同じ日、4月1日からの脱出となる。繰り返される同じ日々の映像を観るのは、「涼宮ハルヒの憂鬱」の永遠に続く夏休み「エンドレスエイト」以来だ。言葉では実感できなくても、映像として見せられると、同じ日々を繰り返すことの辛さと一抹の幸福感がわかる。

CLAMPで最も有名なのは、「カードキャプターさくら」で、筆者の娘が子供のとき染まっていた。筆者の年代は親として作品との同世代性を感じる立場にある。