斜線堂有紀「楽園とは探偵の不在なり」

日本SF作家クラブ編のアンソロジー「2084年のSF」で、斜線堂有紀の作品に初めて出会った。ジョージ・オーウェルの「1984年」から100年後の2084年が舞台ということだけが縛りの短編競作集で、23人の作家が参加してる。

斜線堂有紀の「BTTF葬送」は、2084年の映画界を描いた物語だ。映画の輪廻転生のため、往年の名画は100年で焼却されることになっている。BTTFすなわちバック・トゥ・ザ・フューチャーも2085年に葬送される。

2017年よりミステリー、SF、ライトノベル等のジャンルで斜線堂有紀は活動していて、出版された作品は多数ある。長編ミステリーで最も話題となっていた、本作品を読んでみた。

近年、ミステリー小説界では「特殊設定もの」と呼ばれるブームがあるそうだ。超常現象が起こっていても、論理性を重視した本格ミステリーが語られる。

この小説の世界では、顔がない不気味な天使があちこちにいる。2人を殺害すれば、天使により直ちに地獄に引きずり込まれる。このルールでは、起こり得ないはずの連続殺人事件の謎に挑む。

ミステリが読みたい!2021年版第2位。