高橋昌一郎「フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔」

「横浜駅SF」で知られたSF作家、柞刈湯葉(いすかり・ゆば)の短編集「まず牛を球とします。」に収載された「沈黙のリトルボーイ」の作者解題で紹介された。参考資料として読んだが、大抵の小説よりも小説だったとある。

「人間のフリをした悪魔」と呼ばれ、宇宙人のような人類を超えた知性を発揮したフォン・ノイマンは、非常に幅広い科学の分野に影響をおよぼした。その逸話は、様々な書籍で目にしてきたが、一冊の本で通して読むのは初めてだった。

序文に「フォン・ノイマン著作集」のタイトルが列挙されている。第1巻「論理学・集合論・量子力学」、第2巻「作用素・エルゴード理論・群における概周期関数」、第3巻「作用素環論」、第4巻「連続幾何学とその他の話題」、第5巻「コンピューター設計・オートメタ理論と数値解析」、第6巻「ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学」だ。

その哲学を推測するにあたって、本書では原爆開発の「マンハッタン計画」での業績、発言、行動の比重が大きく取り扱われているように思える。

きっかけとなった柞刈湯葉の短編集