陸秋槎「ガーンズバック変換」

主にミステリーのジャンルで活躍する、中国人作家陸秋槎(現在は日本の石川県在住)の、初SF短編集となる「ガーンズバック変換」を読んだ。

表題作は、なにそれ信じられないと言えるような、現実の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」に想を得て発展させている。未成年の香川県民は、液晶画面が真っ黒にしか見えないガーンズバック眼鏡の装用が義務付けられ、違反すると学校の退学を含めた重い罰則が科せられる。その装用状況は外部からモニターされていると噂されている。

作者あとがきには、日本の女子高生をちゃんと描けるか自信がなく、青春映画の雰囲気を想像しながら執筆したとある。もちろん百合にも不足はない。

作者の初SF小説である「色のない緑」、日常系SF「開かれた世界から有限宇宙へ」も面白い作品だ。