「デヴィッド・ボウイ 幻想と素顔の狭間で」

2016年1月10日に死去したデヴィッド・ボウイの初期を回想するドキュメンタリーを映画館で観た。命日に合わせて、1月10日からの公開だった。

2007年にイギリスで制作されたフィルムである。

グラムロックが流行った1970年代前半、筆者は高校生だった。この時代、つまり世に出てから「ジギー・スターダスト」までの頃が、関係者のインタヴューと当時の映像で描き出される。

ボウイの元妻、ボウイの売り方を考えだしたプロモーターのアンジーが勢いよく喋り続ける。グラムロック文化とファッション・スタイルを築き上げたのだ。

スタンリー・キューブリックの映画「時計じかけのオレンジ」(1971年、日本公開は1972年)。マルコム・マクダウェル演じる不良少年4人組「ドルーグ」にボウイとアンジーは憧れ、自分たちのステージに取り入れていった。

キューブリックが、後に来るグラムロックの世界を予感して映画を作ったと筆者は誤解していた。「時計じかけのオレンジ」があったから、グラムロックが生まれたとは思っていなかった。

バックバンド「スパイダーズ・フロム・マーズ」のメンバー、ウッディ・ウッドマンゼイやトレヴァー・ボルダーらも制作の裏話を熱く語る。そして、「ジギー・スターダスト」のいきなりの終焉とバンドの解散のことに触れる。取り残される面々を見捨てて、ボウイは次の段階に登って行った。

山本寛斎によるステージ衣装については、誰も発言していなかった。