小川一水、飛浩隆、他「BLAME! THE ANTHOLOGY」

2014年に第1期が、2015年に第2期が公開され高い評価を集めたアニメ「シドニアの騎士」の漫画原作者、弐瓶勉のデビュー作にあたるのが漫画「BLAME!」だ。2017年5月20日劇場アニメ版が、日本初のNetflixオリジナル映画として全世界へ配信開始された。

漫画「BLAME!」の連載開始は1997年であるが、単行本は新装版が2015年に全6巻で出版されている。

また、劇場アニメ版「BLAME!」配信開始に伴い、冲方丁によるノベライゼーション「小説BLAME! 大地の記憶」と、5人のSF作家(九岡望、小川一水、野崎まど、酉島伝法、飛浩隆)によるスピンオフのアンソロジー小説「BLAME! THE ANTHOLOGY」が発売された。監修・イラストは弐瓶勉が務めている。

原作者によると、「BLAME!」の主人公は無制限に広がる階層都市の巨大建築物かもしれないと。絵が中心となり、科白や説明は最小限のものとなっている。冲方丁の「小説BLAME! 大地の記憶」は、漫画の初めから新装版第2巻の中ほどまでを、言葉により描き出して原作を補完している。

「BLAME!」の世界観を拡張して味わえるのが、アンソロジー「BLAME! THE ANTHOLOGY」だ。5人の作家がそれぞれ存分に腕を振るっていて面白い。まず原作の世界観をしっかりと把握しておく必要はあるので、原作漫画全6巻と劇場アニメ版は前もって見ておくべきだろう。

劇場アニメ版は電基漁師の村のエピソードが中心である。珪素生物の描写は省かれている。

スターシステムが採用されているので、主要キャラのシボ、サナカンがどのように登場するのかも興味の対象となる。劇場アニメ版を原作より先に観た人は、原作を読み直してからもう1度映像を見直すと新たな発見に出会える。原作者によるセルフパロディのコメディ「ブラム学園!」(「ブラム学園!アンドソーオン」収載)も読んだほうがいい。