ネットロア(ネット上の都市伝説)として流布している恐い話から取材した、死の危険と隣り合わせの異世界冒険が描かれる。
ロシアの映像作家アンドレイ・タルコフスキー監督の映画「ストーカー」(1979)は、私の大好きな映画として5本の指に入る。岩波ホールで2回観た。現在使われるストーカーという用法は、この頃はまだなく密猟者という意味である。これの原作がアルカジイ&ボリス・ストルガツキーの「路傍のピクニック」だ。裏世界をゾーンと呼びボルト投げをして道を探す男が登場することから、この名作映画のシーンを思い浮かべながら裏世界をイメージすれば良いのは間違いない。
蛇足だが、タルコフスキーとは違った解釈でストルガツキー兄弟が書いた映画シナリオ「願望機」も出版されている。
私と同年代で映像に興味があった人は、もれなく観た「ストーカー」だが、もう時代が変わってしまった。VHSに始まり、DVD、BDと買い直す度に古いメディアを布教の旅に出したが、別の世代に受け入れられたことがない。下敷きとなった「ストーカー」は、ネットロア同様、知っている人間だけに作用する舞台装置なのではというレビューが某サイトにあった。
本書の続編中に息抜きのパートとして書かれた、冒険の反省会での、焼肉にまつわる非常に現実的な描写に笑いをこらえることができなかった。