飛蚊症
糸くずや点のような小さな異物が視界を飛び交って見える、蚊が飛んでいるように見えるといった症状を感じたことはありませんか?それは、飛蚊症という目の病気です。
飛蚊症は、網膜と硝子体の異常により発症します。原因は生まれつきのものと、加齢によるもの、そして病気によっておこるものの三つがあります。眼科で眼底検査を受ければ、これらを区別することができます。
・生まれつきの飛蚊症は、母親の胎内にいた頃に伸びていた血管が成長しても消えないことでおこります。視力に問題がなければ悪化することはありません。
・加齢による飛蚊症は、硝子体という眼球の内部を満たしているゼリーのような透明な組織が、年齢を重ねると変化し縮むことでおこります。その結果硝子体が網膜からはずれ、濁りの濃い部分が異物として見えている状態です。加齢による飛蚊症は、他の病気がなければ特に対処する必要はありません。しかし、この硝子体が縮む年齢は、網膜裂孔、網膜剥離などの病気による飛蚊症を起こしやすい時期でもあります。一度、心配いらないと言われても、さらに症状が変化した時はまた眼科を受診したほうがいいです。
病気による飛蚊症は、以下の4つの病気が考えられます。
●網膜剥離
眼底から網膜が剥がれている重大な眼の病気です。早めに手術を行えば完治できますが、手術せずにそのままにしていると失明します。
●網膜裂孔
網膜に孔や裂け目ができている状態です。網膜剥離と同じく手術しなければ高い確率で失明します。
●硝子体出血
硝子体の中で出血している状態です。硝子体に混ざった血液が、飛蚊症としてあらわれます。硝子体出血の原因疾患によって治療方法は異なります。原因疾患に対する治療をしっかりとおこなわないと、大変なことになります。
●ぶどう膜炎
目のぶどう膜に炎症がおきています。炎症によって硝子体が濁り飛蚊症としてあらわれます。全身的な原因がある場合が多いですが、原因不明のものも多いです。重症化すれば失明につながります。
飛蚊症は、加齢や生まれつきのものなど無害な場合もありますが、眼の病気のサインということも考えられます。頻繁に症状があらわれたり、症状が徐々に悪化している時は、一度眼科医に診てもらいましょう。